相続編(2)相続税の節税に関する5つのポイントとは?

相続

日本も急速に高齢化社会に直面していますが、それに伴い、相続税に関する話題も多くなってきたように感じます。今日は少しでも皆さんの参考になるような相続税の節税について考えたいと思います。

基礎控除を増やす

相続税には基礎控除というものがあり、3,000万円+(法定相続人×600万円)が相続財産の課税標準から控除されます。例えば 、相続人が妻と子1人であるならば、3,000万円+(600万円x2人)=4,200万円が控除されます。
この場合、孫を養子にして、法定相続人を1名増やすと、基礎控除は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となり、控除額を600万円増やすことができるでしょう。

しかし、注意点もあります。まず、法定相続人の数に含めることのできる養子の人数には制限があります。
実子がいる場合は、養子のうち1人まで、実子がいない場合は、養子のうち2人まで と決まっています。さらに、以前にブログで書いた贈与に関して、暦年贈与などで毎年贈与してきた場合、孫は法定相続人にならないため、相続税発生時の持ち戻し(過去の贈与に対して相続税の課税対象となること)が発生しません。しかし、法定相続人となった場合は、持ち戻しが発生します。さらに、養子となった孫には 相続税が2割増しで加算されます。

生命保険を活用する

保険金は法定相続人×500万円が非課税枠になります。特に自社の株式が資産のほとんどで、会社を継がせるために大部分の資産を一人の子に渡す場合や自宅以外に資産がない場合など、保険の受取人を“大部分の資産を相続するもの以外のもの”にしておくと控除のみならず、遺産相続もスムーズに解決できるでしょう。

暦年贈与の利用する

以前にも書きましたが、受贈者1人当たり年間110万円までの非課税枠があり、これを利用して子や孫に生前贈与することが可能です。但し、相続発生時より3年前以内の贈与は相続税の課税対象となります。但し2024年より加算期間が段階的に延長され、最終的に2031年には7年以内の贈与は課税対象となります。そこでその代替手段として相続時精算課税制度の活用が考えられます。

相続時精算課税制度を利用する

これは60歳以上(贈与のあった年の1月1日現在)の父母や祖父母が18歳以上の子や孫に贈与する場合、2,500万円までは贈与時は非課税、2,500万円を超えた分は20%の贈与税を払う制度です。その後相続発生時に 相続税と相殺処理します。(“相続税ー贈与時に払った贈与税”を行うということです。)

この場合、結局税金を払うことになるので、あまりメリットはないと思うかもしれませんが、これを利用すると暦年贈与110万円を相続時発生時の持ち戻しなしで利用することができるため、今後利用する人が増えると思われます。(2023年までは暦年贈与との併用不可)但し、孫等、配偶者及び1親等の血族以外に渡した場合は、相続発生時には相続税は2割加算の対象になるので注意してください。この他、
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
過去のブログ参照:教育資金編(4)贈与に関して)https://fp-compass.com/blog/education-money/190/

直系尊属からの住宅資金に係る贈与税の非課税制度
(過去のブログ:不動産編(3)資金はどうする?)https://fp-compass.com/blog/real-estate/2184/

なども相続税対策となりますので、ご参考までにご覧ください。
また結婚・子育て資金として1,000万円まで非課税で贈与できる制度もあります。

小規模宅地等の特例で不動産評価額を下げる

細かな要件は複雑なので、ここでは割愛しますが、被相続人の居住用の宅地等は330㎡までは評価額を80%減額することができます。また被相続人が行っていた事業用の宅地等も400㎡まで80%の減額が可能です。(ただし継続で事業を行い、株式を50%以上保有することが必要。)さらに賃貸マンションなどで貸付用宅地等の場合は200㎡までは50%の評価額減が可能です。さらに賃貸マンションは建物も減額されます。

そもそも上記評価額減がなくても、不動産の相続税は路線価という方式で相続税評価額を決定しており、これは時価の80%程度となっています。(タワーマンションなどは土地の持ち分が少ないため、時価より大幅に安く計算される例もあります。)これを利用して、富裕層は資産を不動産で持つ場合がありますが、今後は見直しされるでしょう。

まとめ

ここまで一般的な相続税を節税する方法を考察しました。実際は家族構成などの状況によって、どのような節税方法があるかは変わってきます。もっと具体的に知りたい方は弁護士やFPにご相談されることをお勧めします。もしこのブログがご参考になれば幸いです。

次回は引き続き相続の話で、配偶者居住権について考察します。

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