負の資産にしない!土地を有効活用する5つの方法

不動産

急速な少子高齢化により、人口減少が加速するにつれて、空き家問題が大きく取り上げられる機会が増えてきました。土地統計調査によると空き家の件数は2018年で846万戸となり、この20年で1.5倍増えているようです。

また、相続問題においても、親と同居していれば、相続発生の際、小規模宅地の評価減の特例*により、相続税の減額を受けられますが、離れて暮らしていれば 減額を受けられません。土地を引き継いでも有効活用しなければ、固定資産税や維持費などが発生するだけで、負の資産になりかねません。そこで、今日は代表的な土地の有効活用方法に関して書いてみたいと思います。
*小規模宅地の評価減の特例については下記のブログを参照ください
https://fp-compass.com/blog/inheritance/2209/

土地信託方式

土地の所有者が信託会社と契約し、土地の所有権を形式的に信託会社に移転させ、信託会社は、その土地に建物を建設し、賃貸等の運用を行い、そこから出た利益で土地所有者に配当を渡します。

メリットとしては、土地所有者は土地の所有権を移転させることなく、信託会社に土地活用を任せられます。(形式的には所有権は信託会社に移ります。)

ただし、デメリットとして、配当は実績次第で元本保証はありません。事業資金の借入は土地所有者となります。また、当然ですが、信託会社への信託報酬は必要です。

相続税評価額に関しては、土地は貸家建付地、建物は貸家評価となり、相続税評価額を下げる効果があります。

事業受託方式

土地所有者が所有権を保持したまま、自ら事業主体となり、ディベロッパーを選択・委託し、ディベロッパーは立案から、設計、建物施工、管理まですべてを請け負う方式です。

メリットとしては
土地所有権を有したまま、ディベロッパーの土地活用のノウハウを期待できる
②ディベロッパーがすべて請け負うため、賃貸事業の業務が軽減される
減価償却費や借入金の利息等を必要経費に算入できる
④借入金の分は相続発生時には債務控除されるため、相続税の課税価格を下げる効果がある
があげられます。

一方、デメリットとしては
事業資金は全て土地所有者が調達する
ディベロッパーへの報酬が必要
ディベロッパーの選定次第で事業に差が出るため、選定に注意が必要
という点があります。
なお、相続税評価額に関しては、土地信託方式と同じで、土地は貸家建付地、建物は貸家評価となります。

建設協力金差入方式

事業受託方式とほとんど同じですが、テナントが建設資金を協力金として準備するため、土地所有者は借入を行いません。
メリットとしては、
①事業受託方式と同じで土地を所有したまま、ディベロッパーの土地活用のノウハウに期待できる
賃貸事業の業務が軽減される
資金の負担がない
があげられます。

デメリットは
協力金は賃料と相殺されるため、思ったほどの利益にはならない可能性がある
ディベロッパーへの報酬が必要なこと
ディベロッパーの選定次第で事業に差が出るため、選定に十分注意すること
があげられます。

等価交換方式

土地所有者が土地を提供し、ディベロッパーが建物を提供して、それぞれの土地・建物の価額に比率により、その土地、建物を取得する方法。(または、土地所有者がディベロッパーに土地を売却し、その代金で土地の上に建設するマンションの一部を買い取る方法。)

メリットとしては、
①ディベロッパーの土地活用のノウハウに期待できる
資金の負担がない
③マンションを建設した場合、全部のマンションではなく一部の部屋を持ち分とするため、売りやすい
④土地の譲渡に買い替え特例の適用*を受けた場合は、譲渡益に対する課税が繰り延べられる といったことがあげられます。

デメリットは
①土地の一部は手放すこととなる
②買い替え特例の適用*を受けた場合は減価償却費が少なくなる場合がある

相続税評価額に関しては土地の持ち分が減るため減少し、相続税対策にも効果はあります。

*買い替え特例とは:例えば1000万円で取得した土地を5000万円で売却すると4000万円の譲渡益が出ますが、これに対する課税を繰り延べするということです。上記の場合100%繰り延べすることができますが、減価償却の計算の時に建物価格も最初の取得費の1000万円を引き継ぐことになるので減価償却が少なくなり、結果として所得税の負担が大きくなる可能性があるということです。

定期借家方式

一般定期借地権(存続期間50年以上)や事業用借地権(10以上50年未満)で設定する土地の借地権。地代だけなので、賃貸収入は少ないですが、土地の所有権は残りますし、資金負担もありません。管理面の負担もありません。相続税評価上は借地権評価となり、相続税対策にも効果はあります。

まとめ

以上 5つの土地活用法に関して、メリットとデメリットを考察しました。是非、利用していない土地のある方は、このブログを参考に土地活用に関して検討してください。
ところで、「土地の需要の無いところはどうすればいいの?」という質問がある方もいらっしゃると思います。この場合、例えば、駐車場(アスファルト敷きで専門業者に委託すれば)にすることで、土地の評価額を下げることもできます。市によっては相談窓口もあるようなので、土地活用に悩んでいる方は一度相談してもいいかもしれませんね。

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