前回は大学資金の貯蓄方法についてお話しました。しかし、日々の生活が苦しくて貯蓄できない家庭の子は大学に行けないのか?という疑問も当然あると思います。今日はその点についてお話したいと思います。
結論から言うと、大学に行く方法はあります。まず第一に挙げられるのが、日本学生支援機構の奨学金です。私の時代とは異なり、現在は返済不要の給付型奨学金も存在します。
日本学生支援機構 給付奨学金
給付奨学金を受給するには、以下の要件があります。
代表的要件
①申込資格
<進学前>
・2024年3月に高等学校等(本科)を卒業予定の人
・ 高等学校等(本科)を卒業後2年以内の人
<進学後>
・高等学校等を初めて卒業(修了)した日の属する年度の翌年度の末日から大学等へ入学した日)までの期間が2年を経過していない人 等
②学力基準
<進学前>
・本人の高校における全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上
若しくは学習意欲があること。
<進学後>
・本人の属する学部(科)の上位1/2に入ること。
③収入基準
・生計維持者が住民税非課税世帯又は課税標準額が日本学生機構の基準に合致すること(資産の要件もあり。)
次は通常の貸与奨学金の説明です。貸与奨学金には第一種奨学金と第二種奨学金があります。
日本学生支援機構 貸与奨学金
代表的要件
①申込資格
<進学前>
・2024年3月に高等学校等(本科)を卒業予定の人
・ 高等学校等(本科)を卒業後2年以内の人
<進学前>
・ 2024年3月に高等学校等(本科)を卒業予定の人
・ 高等学校等(本科)を卒業後2年以内の人
<進学後>
・正科生であって、経済的理由により修学に困難で優れた学生等であると認められる人
②学力基準
<進学前>
・高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、
5段階評価で3.5以上であること。(第一種)
・高校での全履修科目の学習成績が平均水準以上(第二種)
<進学後>
・本人の属する学部(科)の上位3分の1以内であること(第一種)
・在籍する学校における成績が平均水準以上(第二種)
③収入基準
・生計維持者が住民税非課税世帯又は課税標準額が日本学生機構の基準に合致すること(資産の要件もあり。)
第一種奨学金
第一種奨学金は無利息で、**「特に優れた学生等で、経済的理由により著しく就学困難な人」**が対象となります。具体的には上記記載の通りです。
第二種奨学金
第二種奨学金は利息付きで、大学入学前の高校での全履修科目の学習成績が平均水準以上などの基準を満たす必要があります。
参考利率
- 利率固定方式:0.268%
- 利率見直し方式:0.009%
(2021年3月時点)
・当然ながら、世帯収入基準がありますが、給付型→第一種奨学金→第二種奨学金の順に、受給条件が緩和されます。
・大学入学前の予約採用は、学校経由での申し込みとなります。日本学生支援機構への直接申し込みはできません。
・給付型及び貸与額は、国立大学か私立大学か、自宅通学か下宿かなど、条件によって異なります。例えば、第二種奨学金の場合、月額2~12万円で、1万円刻みで貸与額を決めることになります。
当然ながら、貸与型の場合は、卒業後に返済する必要があります。借りすぎには注意しましょう。
・返済時には、給与収入が300万円以下の場合、所得連動返済制度を利用して、年収に応じた返還金額を選択することも可能です。この他、入学時特別増額貸与奨学金などもあります。
なお、要件は多岐にわたっており、全て書ききれません。
詳しくは下記 日本学生支援機構のリンクを確認下さい。
(満たさなければいけない条件が多いというよりも、あてはまる選択肢を多くして、間口を広げるために要件が多くなっていると思われます。)
その他
日本学生支援機構以外にも、大学や地方公共団体等が行う奨学金制度があります。また、国立大学では授業料等の納付が困難な学生を対象とした授業料減免制度もあります。
さらに、国の教育ローン(日本政策金融公庫・国民生活事業)もあり、子供一人につき350万円以内(海外留学資金は最大450万円)の貸付があります。(金利:1.8% 2022年5月時点)
国の教育ローンと奨学金の最大の違いは、奨学金は子供が借りるものであるのに対し、教育ローンは親が借りるものであるということです。
家計が恵まれていなくても、大学進学への道は必ずあります。一人で抱え込まず、まずは学校の先生やFPに相談してみましょう。
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次回は教育資金の贈与について解説します。