過去のブログでは、人生の3大資金(教育、住宅、老後)の観点から見てきました。しかし、意外に関連してくるのが、相続に関する事柄です。ここでは相続税の計算方法などを書いていきたいと思います。なお、正確な税額は税理士さんにご相談ください。
相続税はどれくらいかかる?
相続税はどのように計算されるのでしょうか?まず、課税の元となる、課税価格の計算を行いましょう。
①課税価格の計算
課税価格=相続財産(みなし含む)ー非課税財産ー債務・葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産 で算出します。
みなし財産1)亡くなった方が保険料を負担した生命保険金
2)死亡退職金
非課税財産1)生命保険の非課税限度額(法定相続人の数×500万円)
2)死亡退職金の非課税限度額(法定相続人の数×500万円)
3)墓地、仏壇など
4)国や地方公共団体への寄付
5)弔慰金等(業務上の死亡時は普通給与の3年分、業務外は6か月分)
相続開始前3年以内の贈与財産 令和13年より7年以内に変更
過去のブログ:教育資金編(4)贈与に関して の中の 暦年贈与参照 教育資金の贈与 | FPじゅん ライフコンパス (fp-compass.com)
②今度は課税標準から基礎控除額を引きます。
課税標準ー基礎控除額
基礎控除は3,000万円+法定相続人の数×600万円 で算出される額です。
③法定相続人に応ずる所得金額に税率をかけて税額を計算します。
注意事項として 法定相続人とは各相続人がいくらもらったかは関係ありません。法律上もらう権利のある人が相続分をもらったとして税額を計算します。したがって相続放棄した人も税額計算には法定相続人として含めます。では実際のモデルケースで計算してみましょう。
実際の相続税計算例
ケース:本人(死亡)、妻、子供2人 の4人家族
相続財産:2億円
みなし相続財産 :生命保険 3,000万円 死亡退職金6,000万円
債務・葬式費用:500万円
その他は考慮せず とします。
ステップ1
・まず非課税限度額を計算
生命保険 500万円× 3人(妻、子供2人)=1,500万円
死亡退職金 500万円× 3人(妻、子供2人)=1,500万円
ステップ2
・課税価格を計算
相続財産(みなし含む)ー非課税財産ー債務・葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産
2億円+₍3,000万円+6,000万円)ー1,500万円―1,500万円ー500万円=2億5,500万円
ステップ3
・基礎控除額を計算し、課税価格から控除
基礎控除:3,000万円+3人(法定相続人の数)×600万円=4,800万円
2億5,500万円ー4,800万円=2億700万円
ステップ4
・法定相続分に分けて各相続人の課税価格を算出
この場合、法定相続分は妻は1/2 子供は1/4ずつですので、
妻は2億700万円× 1/2=1億350万円
子供は2億700万円×1/4=5,175万円 ずつとなります。
ステップ5
各々の税額を計算する。ここでは法定相続分を相続したと仮定します。
妻の税額は 法定相続分以内又は1億6,000万円以内であれば相続税はかかりません。
よって 1億350万円→相続税0円となります。
子供の税率は 30% 控除額700万円となりますので
5,175万円× 30%ー700万円=852.5万円となります。
子供は2人ですので、852.5×2人=1,705万円 が 納める相続税となります。
参考までに相続税速算表を記載します。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | - |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
今回は相続税の算出方法について考察しました。実際は、財産はほとんど不動産だけという方や自分で始めた会社の株だけという方もおられます。次回は相続税の節税に関して考えたいと思います。