住宅購入を考えるときに、頭金をどれくらい用意できるかは、購入後の住宅ローンの支払にも関係する重要な要素です。今日は、頭金を用意するときに覚えておくべき2つの制度をご紹介します。
財形住宅貯蓄について
まずは財形住宅貯蓄です。これは55歳未満の勤労者(サラリーマン)が5年以上定期に積み立てていく制度です。メリットとしては元利合計550万円(保険型商品の場合は払込元本550万円)までの利子が非課税となります。但し、住宅取得以外で払い出した場合は遡及課税されるので注意してください。(やむを得ない払出は例外として認められる。)50㎡以上の物件という条件があります。
給与天引きで知らず知らずに貯まっていくのはメリットですが、途中で引き出せないのが厄介ですね。利子が非課税なのはいいことですが、今の低金利時代だと大きなメリットはないかもしれません。
贈与税の非課税制度
つぎに父母、祖父母から援助を受ける場合です。
1.直系尊属からの住宅資金に係る贈与税の非課税制度
父母や祖父母から贈与を受けて住宅資金等の取得に充てたときは贈与税を非課税にするものです。省エネ等の一定の基準を満たした住宅は1000万円まで、それ以外は500万円まで非課税となります。要件としては
1)受贈者は贈与者の直系卑属で贈与の年の1月1日で満20歳以上、その年の所得が2000万円以下
2)取得住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下
3)原則、贈与の年の翌年3月15日までに入居、または入居が確実なこと等があります。
2.住宅取得資金の贈与に係る相続時精算課税選択の特例
一定の要件を満たす住宅の購入や増改築等に父母等からの贈与があった場合、2500万円までは贈与税は発生せず(ただし相続発生時に相続税は課される)2500万円以上の部分は20%の税率が適用されるものです。
なお、通常の相続時精算課税制度の場合は父母等は60歳以上でなければいけませんが、この場合は贈与者は年齢の要件はありません。(受贈者は贈与の年の1月1日で20歳以上)
父母、祖父母からの援助が受けられる人は是非チェックしてみてください。上記二つを同時に受けることも可能です。
(おまけ) 変動金利vs固定金利
固定金利がよいのか、変動金利がよいのかというのはよく聞く質問ですが、これに答えはありません。金利が今後上がっていくと思えば固定金利がいいでしょうし、下がっていくと思えば変動金利でしょう。
固定金利のメリット
・毎月のローンの支払いが一定のため、返済計画が立てやすく、インフレに強い。
変動金利のメリット
・固定金利より金利が低く設定されている。
変動金利は短期プライムレート、固定金利は10年国債の利回りによって決定されます。現時点では国の政策的に金利が非常に抑えられており、多くの人が変動金利を選ばれているようです。個人的には非常に低金利な時だからこそ、固定金利がいいと思います(これ以上金利は下がらないので)。ただ変動金利が非常に低いので、借り初めのころ、つまり元本が多いときは今の超低金利な変動金利で借りておけば、総額としての金利負担は減少するという考え方もあります。
ただし、注意したいことは、変動金利より先に固定金利が上がるので、変動金利が上がったときに固定金利に変えようと思っても、固定金利も相当高くなっている可能性があるということです。少なくとも今の変動金利でシミュレーションして、購入可能物件を探すのではなく、ある程度高めの金利で設定しても払っていける金額はどれくらいなのか?という観点で借入金を決定することをお勧めします。(固定の方が金額が変わらないので安心して生活設計ができるというメリットもありますね。)
まとめ
有効に頭金を準備する方法として、財形住宅制度と贈与税の非課税制度を考察しました。実際に住宅購入の際は、住宅ローン減税などの税制優遇も併せて考えましょう。