さて、今回は老後資産形成 第3回です。
前回は、老後に発生する不足分を、年5%で運用する場合の拠出額を算出しました。
今回は、具体的な投資方法について皆さんにお伝えします!
その前に、前回の投資必要額のおさらいです。以下が前回算出した金額です。
前回のおさらい(年5%の運用)
「サラリーマンなどの第二号被保険者(夫または妻どちらかは専業主婦<夫>想定)
1,860~1,635万円の不足」のケースで
35年運用(投資期間31~65歳):
204,600~179,850円/年→17,050~14,988円/月
25年運用(投資期間41~65歳):
390,600~343,350円/年→32,550~28,613円/月
15年運用(投資期間51~65歳):
855,600~752,100円/年→71,300~62,675円/月
「自営業などの第一次被保険者 3,900万円の不足」のケースで
35年運用(投資期間31~65歳): 429,000円/年 → 35,750円/月
25年運用(投資期間41~65歳): 819,000円/年 → 68,250円/月
15年運用(投資期間51~65歳): 1,794,000円/年 → 149,500円/月
不足分を補う方法
このように見てくると、15年間運用する場合、確かにこの投資金額は負担が大きいですね。しかし、この計算は現時点で貯蓄や退職金がないという前提に基づいています。
現時点での資産額や退職時の状況によって、必要な投資金額は大きく変わります。さらに、以下のような65歳以降の生活を支えるための対応法も併せて検討するとよいでしょう。
①65歳以降も働く<特に自営業の方であれば、定年がないため、比較的容易に仕事を継続できます。>
②年金支給開始日を遅らせることで給付額をアップさせる。
③専業主婦(夫)にも働いてもらうことで、収入をアップさせる。
④相続財産を活用する。
⑤リバースモーゲージを利用する。<自宅を担保にお金を借りる方法>
上記以外にも様々な方法がありますので、ご自身の状況に合わせて検討しましょう。
ただし、今回の主題は資産運用です。上記の金額を参考に、無理のない範囲での運用を考えていきましょう。
長期・分散・積立が低リスク
では、いったいどのように資産運用すればいいのでしょうか?
例えば、株式投資は、自信のある方なら良い選択肢ですが、一般的には利益を上げ続けることは難しいです。
一方、国債は金利を低く抑えられているため、期待できる金利はほとんどありません。
上記の運用のシミュレーションでは年5%で検討しましたが、確実に5%利益で運用できる方法は存在しません。
しかし、極力リスクを抑えながら運用する方法はあります。それが「長期・分散・毎月積立」です。具体的には、株式投資信託をiDeCoやNISAで運用するのがおすすめです。
投資信託は、プロがリスクコントロールしながら資産配分を考えてくれるため、自分で株式運用するよりも楽です。
ただし、元本保証はなく、運用手数料などのコストが発生します。さらに儲からない株式投資信託も数多くあるため、過去の運用成績を参考に、コストとリターンのバランスを見ながら最適な投資信託を選択し、iDeCoやNISAを活用しながら、長期・分散で毎月積み立てるようにしましょう。
長期・分散・積立が効果的な理由
ここでなぜ長期・分散での積み立てがいいのか話しておきますと、 例えば今100万円投資したとしても価額が高いときに買ってしまうと、数年後 増えておらず、さらに元本割れというケースも考えられます。
一方、毎月一定額を積み立てると、価額が高いときは購入数が少なく、価額が低いときは購入数を多く買うことができるため、一か月当たりの収益の振れ幅が小さくなり、長期になればなるほど収益の効果は上がっていくということになります。これはドルコスト平均法という考え方です。ここでドルコスト平均法の効果を具体的に計算します。
仮に①毎月1万円ずつ 投資する場合 ②毎月10,000口ずつ投資信託を購入する場合で考えてみたいと思います。
①毎月1万円ずつ投資する場合
月 | 1か月目 | 2か月目 | 3か月目 | 4か月目 | 5か月目 | 合計 |
投資金額 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥50,000 |
1万口当基準価額 | ¥10,000 | ¥8,000 | ¥5,000 | ¥10,000 | ¥12,500 | |
購入口数 | 10,000 | 12,500 | 20,000 | 10,000 | 8,000 | 60,500 |
5か月目の資産価値:60,500口 X 12,500円=75,625円(25,625円のプラス) | ||||||||
75,625÷50,000=約1.51倍 |
②毎月10,000口ずつ投資信託を購入する場合 |
月 | 1か月目 | 2か月目 | 3か月目 | 4か月目 | 5か月目 | 合計 |
投資金額 | ¥10,000 | ¥8,000 | ¥5,000 | ¥10,000 | ¥12,500 | ¥45,500 |
1万口当基準価額 | ¥10,000 | ¥8,000 | ¥5,000 | ¥10,000 | ¥12,500 | |
購入口数 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 |
50,000
|
5か月目の資産価値:50,000口 X 12,500円=62,500円(17,000円のプラス) |
62,500÷45,500=約1.37倍 |
上記の例より、毎月定額投資する効果がご理解いただけたと思います。皆さんも様々なケースで考えてみてください。つぎに分散の効果は、一つの会社に投資するケースで考えてみてください。投資した会社が大きく伸びれば大きなリターンを生む可能性はありますが、その会社が倒産したら元本も全て失われる可能性があります。
その点、投資信託の場合は、ひとつの株に投資しているわけではなく、大幅にリスクが低減されます。個人的には国内・海外・株式・債権を組み合わせて投資信託で運用する方が一層のリスクヘッジ効果は高いと考えます。
注:投資信託は種類が様々で、一つの投資信託で国内・海外・株式・債券を組み合わせて販売しているものもあります。
上記はあくまで個人の意見であり、参考としてください。
投資は元本保証できるものではありませんので、自己責任でお願いします。
また特定の株式や投資信託を推奨する意図はありません。
まとめ
具体的な投資方法として、長期・分散・積立を推奨し、その効果についてみてきました。新NISAも開始されましたので、是非、長期的な視点で資産を増やすことを検討してください。
次回はiDeCoとNISAを中心に考察したいと思います。