最近は夫婦共働きの家庭が増えてきており、どうやら7割を超える世帯が共働きとなっているようです。ご夫婦でフルタイムで働いている方も多いと思いますが、今日は主婦(夫)が専業主婦(夫)から扶養内で働きに出ようと思っている方に、税金と社会保険の面から注意すべき点を書きたいと思います。
配偶者控除と配偶者特別控除(税金面の壁)
まず配偶者控除ですが、これは 主たる働き手が納税の際に、配偶者の所得金額が一定の金額以下の時に受けることができる所得控除のことです。パート等で働く配偶者の収入が103万円以下(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)の場合、主たる働き手の年末調整(もしくは確定申告)の際、38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円)の控除を受けることができます。
ただし、2018年以降、その主たる働き手の所得に応じて、控除できる金額が変更になりました。主たる働き手の所得が900万円(給与収入1,120万円)以下の場合は上記の様に38万円控除になりますが、それ以上の所得を得ているケースでは、それ以下の控除額となります。また主たる働き手の所得が1,000万円を超えると控除金額は0円となります。
配偶者特別控除は配偶者控除の対象にできない、簡単に言うと、103万円を超えて、配偶者が働いている場合に受けることのできる所得控除です。こちらも配偶者控除と同様に、主たる働き手の所得が1,000万円を超えている場合は、控除額は0円となります。
主たる働き手の所得が900万円以下の場合は、配偶者のパート等の収入が150万円までは配偶者控除と同じく、38万円の控除を受けることができます。配偶者の収入が増えるにしたがって、控除できる金額は少なくなっていきますが、配偶者の収入が201万円を超えると配偶者特別控除も適用されなくなります。主たる働き手の所得が900万円以下の場合は 配偶者の収入103万円、150万円、201万円でそれぞれ壁があるということですね。
満額の38万円の控除を得ようと思うと150万円までの年収で働く必要があるということです。文字だけだと分かりにくいので、下記国税庁のリンクで ″令和2年分以降″の表を参照していただくと分かりやすいかと思います。
社会保険料の壁
一般的には、配偶者は夫(又は妻)の扶養に入っている場合は健康保険や厚生年金と言った、社会保険を負担することはありません。しかし、ある一定の条件に合致すると社会保険を負担する必要が出てきます。まずは106万円を超える年収の場合です。106万円の壁が適用される場合は以下です。
- 労働時間が週20時間以上
- 月収が88,000円以上(88,000円×12か月=105万6,000円≒106万円)
- 勤務期間が1年以上続く見込み
- 勤務先の従業員が101人以上(24年10月より51人以上に改定)
- 学生でないこと
また、週当たりの勤務時間が正社員の4分の3以上もしくは月当たりの勤務日数が正社員の4分の3以上でも上記に関係なく社会保険加入が義務付けられます。
さらに、上記に該当しなくても、年収が130万円を超えた場合は、社会保険の加入が義務付けられます。
ただ、扶養から外れて社会保険を負担する場合のメリットもあるので、その点は頭に入れておいてください。まず、厚生年金に加入することのよって将来の年金額が増えること、そして、障害のある状態になっても障害年金、死亡した場合には遺族年金が支給されます。さらに、健康保険の加入で傷病手当金や出産手当金の対象となります。しかも企業側が半分を負担し、自己負担は半分です。これらのことは念頭においてください。
まとめ
以上、不要の範囲で働くことについて、まとめてみました。税金上の壁が103万円、150万円、201万円。社会保険の壁が106万円、130万円となります。これらのことを考慮に入れて、働き方を考えてみてください。